伊吹Vs公明・古賀氏の対立要因の1つは、臨時国会の召集時期だった。伊吹氏はテロ特措法延長に十分な日程を確保するため、8月下旬の召集を主張し、公明党や古賀氏は9月下旬への先送り論を主張した。17日の自公幹事長・国対委員長会談は、伊吹氏と公明党の北側一雄幹事長と険悪なムードになったという。
解散の時期でも対立は続いた。伊吹氏は内閣支持率の低迷を受けて、「先送り」を主張していたが、公明党は来年夏の東京都議選に全力投球するため、「年内」を強く主張した。
福田首相としては、「伊吹氏の知恵と独特の話術も気に入っている」(首相周辺)とされるが、公明党が水面下で伊吹氏更迭を促したとの情報もある。「公明党が露骨に福田政権と距離を取り始めているため、(公明党が嫌う伊吹氏を)留任させることで同党との関係が、さらにこじれることを恐れた」(自民党中堅)との見方もある。
伊吹氏には舌禍も多い。自民党支持率の低迷を受け、「(次期総選挙に)勝とうと思うと、一種の『目くらまし』をしなければしようがない」と語るなど、「とても選挙向けではない」(ベテラン議員)ことも理由としてあるようだ。
その伊吹氏の横滑り先が、財務相というのも意味深長だ。
現職の額賀福志郎財務相は、脱税で東京地検特捜部に逮捕された秋山直紀容疑者が専務理事を務める社団法人「日米平和・文化交流協会」の理事を務めていた。首相が閣僚のスキャンダルを敬遠し、重要閣僚ポストである財務相で伊吹氏を処遇した。
その狙いについて、永田町関係者は「伊吹氏は元大蔵官僚だ。財務省は『財政再建』を最優先課題に掲げており、首相も将来の消費税アップを見越した人事ではないか」とみる。
伊吹氏自身も5月、「お殿様は国民だ。国民が使っているものに年貢(=税金)が追いつかない場合は、国民が年貢をもう少し増やすのは当たり前だ」と語るなど、消費税増税を肯定していない。
経済財政担当相に内定した与謝野氏は、「財務省が最も信頼する政治家」と呼ばれており、消費税10%を主張する「財政規律派(=増税派)」のドンだ。
今回の内閣改造にあたって、福田首相は物価高騰が国民生活を直撃している現実を踏まえ、表向き「生活重視の改革」を打ち出している。だが、来年度税制改正を主導する財務相と経済財政担当相を「増税派」で固める以上、さらなる国民負担を強いるつもりではないのか。
ZAKZAK 2008/08/01
自分らの給料減らしてからにしろよ